ロレックスやパテックフィリップと並び、多くの業者が積極買取を行っているのがオーデマピゲ ロイヤルオークです。
当店でも、近年のロイヤルオーク15300STと15400ST、そして2019年新作として発表された15500STには特に力を入れており、キャンペーンを設けて高価買取を長らく行ってきました。
このまま売り手市場を謳歌すると思われるロイヤルオークですが、2020年にかけて、激動とも言える相場情勢を描いてきました。
その要因は様々です。まず、SIHH2019で15400STの後継にあたる新作・15500STが登場したこと。そしてしばらく併売された後、長年愛され続けてきた15400STがいつの間にか生産終了したことが大きな影響を与えたと考えられます。
さらに、2020年以降、四年連続でオーデマピゲで価格改定が敢行されることとなりました。しかも、それぞれの上昇率は決して小さくありません。
この生産終了劇に加えて価格改定となると、またオーデマピゲの相場が大きく動く可能性があります。
15400STおよび15500STの買取相場はどう動くのか?今売るべきか、まだ待ちか!?そして、じょじょに国内市場に出回ってきた15500ST系の今後の実勢相場はどうなる!?
2023年のオーデマピゲの買取相場を、ロイヤルオーク 15400ST・15500STを主軸として考察してみました!
※ステンレス製ロイヤルオークが対象となります。
※掲載する情報は2023年1月現在の情報となります。
※相場は流動的なものとなり、ロイヤルオークの高額買取をお約束するものではありません。参考程度にお読みください。
目次
オーデマピゲ ロイヤルオーク 15400STと15500ST比較
ロイヤルオークはご存知の通り、オーデマピゲのフラグシップであり、ラグジュアリースポーツウォッチという概念を築き上げた傑作です。
スポーツウォッとは思えない薄型設計で、スポーティーと美しさの調和が本当に素晴らしいですね。
新品・中古問わず非常に買取需要が高く、特に2012年に登場したステンレス製15400STの黒・青・シルバー文字盤の三モデルは、現行でありながら正規店ではなかなか手に入りません。
多くの時計専門店が在庫確保に躍起になり、結果買取相場を吊り上げている状態です。
このように長くロイヤルオークの看板役でしたが、SIHH2019で後継機にあたる15500STが登場しました。
後継機とは言っても15400STは即時生産終了しているわけではなく、2019年は併売されました。
いつまで併売が続いていたかは定かではありませんが、2020年明け、オーデマピゲのカタログから15400STの姿が突如として消えます。そう、生産終了が決定しました。
既存の15400STと新作15500STを比較してみましょう。
※定価は2023年1月現在のものとなります。
オーデマピゲ ロイヤルオーク 15400STのDATA
ケースサイズ:幅41mm×厚さ9.8mm
素材:ステンレススティール
文字盤:黒・青・シルバー(2017年よりグレー追加)
ムーブメント:自動巻きCal.3120、21,600振動/時
パワーリザーブ:60時間
防水性:50m
定価:2,035,000円(税込)
オーデマピゲ ロイヤルオーク 15500STのDATA
ケースサイズ:幅41mm×厚さ10.4mm
素材:ステンレススティール
文字盤:黒・青・グレー・シルバー
ムーブメント:自動巻きCal.4302、28,800振動/時
パワーリザーブ:70時間
防水性:50m
定価:3,300,000円(税込)
15400STと15500STの比較
左が従来のロイヤルオーク15400ST、右が新作15500STです。
パッと見だと、大きな違いはありません。
15300T⇒15400STになった折はケースサイズが変化(39mm⇒41mm)し、15300派と15400派で分かれることとなりましたが、今回はサイズは据え置き。
しかしながらムーブメントが一新されています。
※新ムーブメントCal.4302
15300ST時代から3針ロイヤルオークにはお馴染みであったCal.3120ではなく、新型自社製自動巻きムーブメントCal.4302を搭載。これは、今年最も大きな話題となったオーデマピゲ新作CODE11.59のために開発されたキャリバーです。
振動数がアップし、パワーリザーブも約10時間延長することとなりました。
これに伴いパーツが増加し、ムーブメントが大型化。併せてケース厚も0.6mmボリュームが出ています。
パッと見は変わらないと述べましたが、デザイン面でもやや変化を見せております。
文字盤のデイト窓がやや外周よりに。インデックスや針にボリュームが出ることとなりました。
さらに言うと新ムーブメントの搭載によって新作15500STは厚みが増していることも特筆すべき点です。
もちろん増した、といっても0.6mm。誤差の範囲と言っていいかもしれません。しかしながら装着してみると結構違いが出るもの。
賛否両論分かれるポイントであることは間違いありません。
定価はムーブメント変更もあり、15400STと比べると15500STは162,000円アップ(その後2020年に15500STは165,000円値上げで2,365,000円、そして2021年に2,530,000円⇒2,805,000円⇒2,915,000円、2023年には3,300,000円へ)。
以上がオーデマピゲ ロイヤルオークの旧作・新作の目立った違いとなります。
ロイヤルオークの買取価格
2023年1月現在の当店での買取価格は以下の通りです。(※キャンペーン期間価格)
15400STの買取相場
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.01 黒文字盤
中古買取価格:3,500,000円
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.03 青文字盤
中古買取価格:4,400,000円
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.02 シルバー文字盤
中古買取価格:3,400,000円
15500STの買取相場
次に、2023年1月現在の15500STの、当店での買取価格は以下の通りです。(※キャンペーン期間価格)
■ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.01
買取価格:5,000,000円
■ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.02
買取価格:4,000,000円
■ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.03
買取価格:4,000,000円
青文字盤が筆頭にきて、黒やシルバー,グレーが次点といった順序となりますが、いずれもステンレス製スポーツウォッチとしてはかなり高額な買取価格をご提示させていただいております。
なお、どのモデルも、ほんの一年前よりも100万円以上も買取価格が上昇しています。
旧型と新型を見比べてみると、新型の方が買取価格が高いことが見えてきます。
よくロレックスなどは「生産終了したモデルの相場が上がる」と言われますが、これは大変稀有な例。大体はスペックアップした新型の方に需要が集まる傾向にあります。
では今後、生産終了した15400STの方は価格が上昇しないのか?と言われるとそうでもありません。むしろこの一年間で15500STを超える上昇率で価格高騰しており、買取相場に至っては肉薄する勢いです。
この要因はいくつか考えられますが、15400STの流通量が生産終了によって減ってきていることがまず挙げられます。
確かにロレックスのような急騰は見られないとは言え、オーデマピゲのような超人気のハイブランドの個体は、生産終了することで希少性がにわかに高まり(今も稀少ですが)、相場を一気に上昇させるポテンシャルを秘めています。依然として高すぎる需要もこの稀少価値を押し上げていると言えるでしょう。
こんな背景もあり、2023年は売りか・待ちか?15400STおよび15500STの2023年買取相場動向を予想してみます。
※なお、2020年に15500STにシルバー文字盤 Ref.15500ST.OO.1220ST.04が追加されました。まだそこまでは流通しきっていない状態ですが、当店での買取価格も高値であることは他カラーと同様です。
2023年 オーデマピゲの買取相場動向
それでは東京 銀座にサロンを構えるGINZA RASINの時計買取スタッフが、2023年のオーデマピゲの買取相場を考察してみました!
2023年の買取相場動向①15400ST・15500STともに相場上昇がすごい
ちょうど三年前、15500STがオーデマピゲよりリリースされた段階でもオーデマピゲの買取相場を考察いたしました。
当時は「新作15500STの存在が15400STの相場を脅かす」、と申し上げたものです。
それは前項でも簡単に言及しておりますが、新作・旧作とあまり外観の違いがないため、併売されることになれば新作に需要が流れ、15400STの相場が下がる可能性があるためです。
過去、マイナーチェンジが行われた有名モデルで、外装面にあまり違いがないものは相場が大きく動かない、ということは珍しくありませんでした。例えばロレックスのシードゥエラー ディープシーが新作126660を登場させて話題となりましたが、デザインはほとんど変わっていなかったためまだそれほど旧作のプレミアム化は見られていません。
15500STの変更点の大きなところはムーブメントに集約されるので、あるいはスペックアップした新作人気が継続的に続いて、15400STから需要が流れることは想像しやすいでしょう。
事実、15500STの相場高騰は新作発表から4年以上が経つ今なお青天井の状態です。
一方で、15400STもまた過去類を見なかったほど高い相場を記録しており、しかも現在も更新中であるためです。
各モデルの2023年1月現在の、販売相場は以下の通りです。
※当店で販売した中古ベースの相場となるため、実際の価格は状態や付属品の有無によって変動いたします。また、最近では需要が集中しすぎたためか流通が激減しており、相場の上昇率もまた急ピッチで上がっています。
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.01 黒文字盤
販売相場:500万円前後~
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.02 シルバー文字盤
販売相場:450万円台~480万円台
■ロイヤルオーク 15400ST.OO.1220ST.03 青文字盤
販売相場:700万円前後~
15500STの大体の販売価格はこちら。
■新型ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.01 青文字盤
販売相場:800万円台~
■新型ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.02 グレー文字盤
販売相場:560万円台~
■新型ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.03 黒文字盤
販売相場:580万円前後~
■新型ロイヤルオーク 15500ST.OO.1220ST.04 シルバー文字盤
販売相場:550万円前後~
新型の15500STは言わずもがな。
さらには15400STもまた、過去類を見なかったほど高い相場を記録しています。さらにその上昇率が凄まじく、一年半前と比較すると下記の通りとなっています。
◆15400ST.OO.1220ST.01 黒文字盤
186%(2020年6月時点ではだいたい280万円程度)
◆15400ST.OO.1220ST.02 シルバー文字盤
178%(2020年6月時点ではだいたい280万円程度)
※15400ST.OO.1220ST.03は2020年6月時点でのデータが少なかったため割愛。
多少のアップダウンはあったものの、15400STは2019年5月あたりから、相場がどんどん上昇しており、右肩上がりのグラフを描いてきました。
とりわけ2021年明けからは、一挙に300万円ラインを突破し、現在ではこの当時よりも100万円単位で値上がりしています。
ちなみに2019年の段階では、まだ15400STと15500STは併売されていました。にもかかわらず、15400STが早い段階から相場上昇。その伸び率は凄まじいものがあることをおわかり頂けるでしょう。
すなわち、15400ST・15500STどちらかに需要が流れるのではなく、ともに高い需要に下支えされる形で相場高騰を遂げていることがわかります。
2023年の買取相場動向②15400STの流通量が生産終了によってますます減少する
出典:https://www.instagram.com/audemarspiguet/
15400STは2012年から製造されてきたため、決して製造数が少ないわけではありません。しかしながらその流通量は枯渇していると言っていい状況です。もっとも、枯渇しているがゆえに需要に全く供給が追い付いておらず、現在のような相場を築いているわけですが・・・
15500STが出た時点で廃盤になるのはわかりきっていたことです。異なるムーブメント・ケースを同時に生産することはメーカーにとってコストがかかるためです。
恐らくオーデマピゲは、2019年の一年間を通して15400STの製造量を抑えていたことでしょう。あるいは在庫処分期間だったのかもしれません。
そんな中で、依然として高い人気を誇る15400STが、供給だけ減った状態・・・流通量が枯渇する理由がおわかりいただけるでしょう。
そして2020年の生産終了によって、ますます流通量が減り、かつ「稀少性の高くなった15400STを買っておこう」という方々がますます増える・・・そんなマインドを受けて、2020年以降、当店の販売部でも15400STは非常によく売れ、お問合せもまた多くなってきております。
そのため、15400STは、近年類を見ない「売り手市場」を謳歌していると言っていいのではないでしょうか。
ちなみに新型コロナウイルスの影響で海外仕入れがしづらい2023年明け現在、多くの業者は個人買取りに力を入れています。とりわけロイヤルオークのような「絶対に在庫を切らせない」モデルはなおのこと。
こういった世相がますます15400STの買取相場を下支えしている状況が続きます。
2023年の買取相場動向③新作の定価値上げに15400ST・15500STの買取相場が引っ張られる
実は近年、多くのブランドが価格改定と言う名の値上げを敢行しています。
ロレックス、チューダー、パテックフィリップ、そして本項でご紹介しているオーデマピゲ・・・
ことオーデマピゲに至っては、2023年明けてすぐ、ロイヤルオーク 15500STでなんと11万円も値上がりしており、15400ST時代と比べると110万円の価格差に・・・!
前述の通り昨年の2021年明けに7%ほど、続く2021年9月に10%超の値上げが敢行されており、さらに2023年、15500STは3,300,000円(税込)となりました。
買取相場が上がる要因は様々ですが、一つに「ブランドの定価が上がる」というものがあります。
15400ST自体は生産終了ですので定価に縛られることはなくなりますが、15500ST(だけではありませんが)の定価が上がり、それに比例して相場が上がると、釣られて15400STもどんどん買取相場が上昇する可能性は高いです。
もちろん相場というのは不安定なもので、断言できるものではありませんが、今後もこの傾向が続いてくとみられています。
そう考えると、2023年以降、むしろ「売り時」の本番になるのではないか、そんなバイヤーからの声も聞こえてきます。
2023年の買取相場動向④シルバー文字盤の存在
実は、新作15500STに、シルバー文字盤はラインナップされていませんでした。
定番の黒・青の他、2017年に15400STに追加されたグレー文字盤が新作にも登場していたのですが、実質シルバーは41mmサイズのSSロイヤルオークでは廃盤と思われていました。
そのため、15400ST時代のシルバー文字盤がプレミア化を遂げるのでは、と騒がれておりました。
しかしながら2020年、カタログを見ると15500STにシルバー文字盤のラインナップがひっそりと追加されているのです!!
要望が多かったのでしょうか。シルバーが良い!という層は少なくありません。
なお、今の時点では15400STの相場が全体的に上がっており、シルバー文字盤だけが上がったり下がったりしている、と言った様相はありません。
出展:https://www.audemarspiguet.com/jp/
そうは言ってもロイヤルオークのシルバー文字盤は他社のそれに比べれば大変な人気です。
また、黒や青にはないドレッシーさ、上品さがロイヤルオークの「ラグジュアリースポーツウォッチ」というコンセプトによくマッチしており、シルバー文字盤でなければならない、といった方々もいるほど。
シルバー文字盤もまた、近年類を見ないような高騰を遂げています。
買取に躍起になる専門店は全国各地に見られます。
そのため、高い価格を維持するシルバー文字盤は、新作によって注目度を集めていることも相まって、かつてないほど売り時を迎えていると言っていいでしょう。
結局2023年、ロイヤルオークは売りか待ちか?
出展:https://www.facebook.com/audemarspiguet/?ref=page_internal
オーデマピゲ ロイヤルオーク 15400STおよび15500STの買取相場は2020年~2022年にかけて、どう動いたかを考察いたしました。
結局、2023年、ロイヤルオークは売るべきなのでしょうか、それとも様子見なのでしょうか。
腕時計相場は安定するものではなく、日々変動しています。
そのため、絶対に今が売り時、ですとか、買い時、といったことは断言できません。
ただ、15500STの発表から一年が経過し、かつ15400STの生産が終了した・・・このご時世にさらにロイヤルオークに注目が集まっている今というのは、一つの節目なのかな、とは思います。
事実、15400STに目を向けてみると、かつてないほどの相場を維持しているのは前述の通りです。
一方で売りたい時が売り時とも申します。
もし今ロイヤルオークを愛用しているのであれば、そのまま大切にお使いいただくことをお勧めします。
そして別の時計が欲しくなった・・・そんな時に売るという選択肢ができるのが、時計ならではのだいご味ですね。
当店GINZA RASINでは、オーデマピゲ製品の豊富な販売ルートを確保しており、常時他店よりも高額買取を積極的に行っていると自負しております。
相場やモデルにかかわらず、オーデマピゲの売却についてはぜひ一度お問い合わせください!
まとめ
人気のオーデマピゲ ロイヤルオークの、15400STおよび15500STの2023年買取相場動向。そして売り時について考察いたしました。
2023年は以下のことが考えられます。
①15400STの生産終了も相まって、流通量が激減・相場が上昇中
②新型コロナウイルスの影響による個人買取強化
③15500STを始めとしたオーデマピゲの定価上げも見逃せない・・・
④シルバー文字盤は青文字盤に比べればプレミア相場ではないものの、現状高い伸び率を記録している
そうは言っても繰り返しになりますが売りたい時が売り時です!
どうしようか迷ってしまう・・・そんな方は一度お気軽にお問い合わせください!
当店ではスマートフォンでのかんたんLINE査定など、気軽に査定をご利用いただけますので、納得の金額が出たら売る、というのもアリですよ!
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この記事を監修してくれた時計博士
新美 貴之(にいみ たかゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 店舗営業部 部長
1975年生まれ・愛知県出身。大学卒業後、ロレックス専門店に入社。販売・仕入れに長年従事した。
その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験を経て、2017年にGINZA RASINに入社。
店舗運営や商品管理・メンテナンスを統括し、社員教育にも力を入れている。時計業界歴24年。