「買取査定価格は●万円です」
この金額に納得すれば売却するし、そうでなければ交渉したり別のお店に持ち込んだりしますよね。
でも、この買取査定額、実際に持ち込んだ時計のどこがプラスになってどのような点でマイナスになっているのかをご存知の方は、あまり多くありません。
しかしながら買取査定額の内訳はどうなっているのか?また、どのような内容でいくら増額・減額されたのか?
これを知っておけば、お持ちの時計のだいたいの買取相場の予想ができやすくなったり、これから売却する際に気をつけたりといった対策を採りやすくなります。
そこでこの記事では、ロレックス買取時の査定額内訳-すなわちプラス査定・マイナス査定のその全貌をご紹介いたします!
せっかく愛用してきたロレックスを、納得のいく金額で手放すために。ぜひ内訳をご確認ください!

目次
ロレックスの買取査定額は「相場」と「在庫状況」が大きく影響する
査定額の内訳をご紹介する前に知っておいてほしいこと。
それは、買取査定は往々にして持ち込みの「タイミング」で決まる、ということです。
すなわちこれは、「(該当個体の)市場相場が高い時」ほど高く売れる。「(持ち込みショップの)在庫状況が少ない時」ほど高く売れる、となります。逆もまたしかり。
売るモノは同じなのだから、どうせなら少しでも高く売りたいところですね。
もっとも、相場に関して言えば、最近は「常時高い」と言ってしまっても良いでしょう。
もちろん多少の上下はあります。
しかしながらロレックスは言うまでもなく、非常に人気のあるブランドです。
一方であまりの人気に供給が追い付いておらず、常時品薄。ことスポーツモデルに至っては正規店で買えることはほとんどなく、並行輸入店での「プレミア価格」が相場の常となっています。特にデイトナやサブマリーナ、GMTマスターなど、買取価格が定価以上になっているものが少なくありません。



一方で「在庫状況」はお店次第。品薄の状況ですが、たまたま仕入れが重なって人気モデルを複数抱えている場合もあります。
当然、「在庫が一本もない」状態で持ち込みされた人気モデルは高価買取の対象となります。
ただ、そのお店がどんな在庫を抱えているかは消費者にはわかりませんよね。そこで、複数社に持ち込んで比較することが大切、と言われているわけです。
では、「相場」と「在庫状況」以外でどういった要素が査定額を決定するのか。プラス査定・マイナス査定はどのように判断されるのか。
次項でご紹介していきます。
ロレックス 買取査定額の内訳~マイナス査定になる場合~
基本的に相場・在庫状況以外のロレックスの買取査定額の決定要因は、時計の状態です。
そして、お持ち込み頂くお時計の状態は様々です。
長年使い続けてきた方だと、どれだけ大切に扱っても使用傷や機械の摩耗が出てくるものです。一方で比較的年式が新しく、劣化の見られない個体も…
なんとなく「状態が悪いとマイナス査定」といったイメージはありますが、具体的な査定ポイントは見えづらいですよね。
そこで、まずはマイナス査定になるポイントについて四つご紹介いたします。
マイナスポイント①付属品の状態



意外かもしれませんが、まず見られるのは時計そのものよりも付属品です。
付属品に何らかの欠品がある場合、真っ先にマイナス査定となります。また、破損や汚れがある場合もマイナス査定となります。付属品のモデル違い・年式違いも同様です。
もっとも、箱や取扱説明書の不備については、数千円~1万円程度のマイナス査定です。なぜならこれらは業者オークションで容易に手に入れることができるため。
一方、保証書がついてない場合は、数万円~数十万円のマイナス査定がなされる場合があります。



保証書はその個体のために一つ発行されるもので、ロレックスでは紛失があった場合でも再発行をしていません。そのため唯一無二であると同時に、その時計の真贋を判断する際にも用いられます。
ロレックスに精通した買取店であれば保証書がなくても買取されますが、そうでないところだと本物かどうかの判断がつかず、買取拒否となる場合も。
また、多くのロレックスはそのまま中古市場で再販されることとなります。この時、保証書がある個体の方が売りやすくなります。なぜなら購入者にとって保証書があるだけで「安心感」が違うため。これは保証期間が切れていたとしても当てはまることです。
であるからして、保証書の有無で数万円の差が出るとしても、不思議ではないでしょう。
ただし、「真贋判断」だけであれば、メーカー修理明細書や国際サービス保証書(オーバーホール証明書)でも代替可能です。詳細は後述しますが、保証書の他に直近の修理明細が付属している場合はプラス査定の対象となります。
マイナスポイント②外装状態



次に査定に大きな影響を与えるのが、時計の外装状態です。
もっとも、使用傷や薄い線傷であれば必ずしもマイナス査定にはなりません。これらは研磨(外装仕上げ)によって目立たなくすることができるためです。
ただし、研磨で隠し切れないほどの傷―打痕や深い傷などーはマイナス査定となります。
また、ベゼルやロレックスのロゴ,リューズやプッシャーといった研磨できない・あるいはしづらい箇所の傷も減額されることが多くなります。
ちなみに研磨のしすぎはケース痩せを招きます。磨きすぎて本来の仕上げを損なったりエッジに丸みが出てしまっていたりすると、やはりマイナス査定の対象となります。



さらに気をつけたいのが、ガラスの傷や欠けです。
かつて使われていたプラスティック風防であれば、多少の傷は研磨で目立たなくすることができました。
しかしながらロレックスの現行モデルに使われているサファイアクリスタルガラスは傷つきづらい代わりに研磨ができません。
そのため視認性を損なうような傷や欠けといった破損があった場合、交換しなくてはなりません。
ロレックスのガラス交換はモデルにもよりますが、純正品だと3万円~と結構高額。
ガラス交換が必要だと判断された場合は実費分が買取査定額からマイナスされることとなります。
もっとも前述の通り、現行モデルのサファイアクリスタルガラスは鉱物のサファイアと同程度の硬度(モース硬度9)を持ち、堅牢です。とは言え扱い方によっては傷や破損の原因となります。
現在ロレックスを使用中の方は、強い衝撃や乱暴な取扱いには注意しましょう。
マイナスポイント③ブレスレットのコマまたはオイスターフレックスベルトの長さ



現在ロレックス正規店では、購入時のブレスレット調整をルール化しています。これは転売対策の一環です。
ロレックスの近年の相場上昇は、一般消費者の売買を活発化しました。
多くの買取店で人気モデルの買取額を定価以上に設定しています。すなわちこれは、正規店で定価で買えた個体をそのまま買取店に持ち込めば、大きな儲けを手にすることができる、ということ。
この転売行為に待ったをかける目的で、ロレックス側では様々な対策を講じていますが、その一つがブレスレット調整となります。
そのため今では中古で買った方も並行店で買った方も正規店で買った方も、原則としてコマが外されている状態かと存じます。
このコマが揃っていない場合、大きなマイナス査定となることをぜひ覚えておきましょう。



ロレックスのコマ、一つひとつが決して安いものではありません。
例えば現行のステンレススティールモデルであっても、メーカー価格で1万円超え。コンビで2~3万円超え。金無垢やプラチナともなると、10万円以上するコマも珍しくありません。
ロレックスのサイズ調整後、このコマをどこかに失くしてしまう方、意外と多いのです。
基本的に、なくなったコマは実費でマイナス査定されることとなります。例えば12,000円のコマが2つ欠品していたとしたら、マイナス24,000円、といった具合です。
エクスプローラーやサブマリーナと言った、比較的手に入りやすいコマであれば、その他の要因によっては大幅減額とならないケースもあります。しかしながらデイデイトや新型GMTマスターIIなど、流通量がそこまで多くない個体だと、減額は必至。
また、稀にコマ調整時についたと思しき傷が見られる場合があります。
その際もマイナス査定になりやすいため、購入時には信頼できる店舗を選択する必要があります。
なお、ロレックス独自のラバーベルト「オイスターフレックス」。



これはロレックスが特許を取得している技術で、ラバーを【ブラック エラストマー】というゴム状の高分子物質でコーティングしていることが特徴です。
ちなみにエラストマーとは「erastic(弾性のある)」+「polymer(重合体)」を合わせた造語となります。
メタルブレスレットに匹敵するような堅牢性・防水性を備えること,にもかかわらずメタルブレスレットとは異なるスポーティーテイストを味わえることから大人気。
一方でサイズ調整にはラバーをカットする必要があります。
このカットされた個体も、マイナス査定となります。特に一般的な腕周り(17~18cm程度)よりも著しく短くなってしまう場合だとベルト交換しなくてはならず、結果としてその分が査定額から引かれてしまいます。
マイナスポイント④オーバーホールが必要な精度不良,動作不良



ロレックスがなぜ人気か。その理由は本当に多岐に渡りますが、一つには耐久性・メンテナンス性の高さが挙げられます。
つまり、経年劣化に強く、しっかりとオーバーホールしてあげることで中古であっても実用できる個体が多い、ということ!また、メンテナンス性が高いと言うことはメンテナンスノウハウが出回りやすいことも意味しています。
ロレックス自身は古い個体のメンテナンスを順次受け付けなくなる方向ですが、民間修理業者でノウハウが出回っているため、正規以外でオーバーホールや修理ができる利点も持ちます(モデルや時計の状態にもよりますが)。
こういった背景から中古市場が確立しており、「動いていない」「買ってから何十年も経っている」といった場合でもお買取りできるケースは多いです。
一方で当然メンテナンスにはお金がかかります。オーバーホールが必要になる個体は、その分の実費がマイナス査定されることとなります。
オーバーホール代金はモデルにもよりますが、クロノグラフなど複雑機構でかつメーカー修理が必要になる場合は、10万円以上かかってしまうことも!一方で民間修理で済ませられる場合は、減額を抑えることが可能です。



※オーバーホール時に発行される国際サービス保証書とサービスケース
しかしながらオーバーホールしてから売却した方がいいかと問われると、そうではありません。
なぜならオーバーホールをしたことによるプラス査定よりも、オーバーホール代金の方が高く足が出てしまうためです。
後述しますが、ロレックスでオーバーホールを受けると「国際サービス保証書」が発行され、保証期間が2年延長されます。この延長された保証期間内の国際サービス保証書が付属した個体はプラス査定となりますが、最高で1万円ほどの上乗せ。正規オーバーホール代金の方が高くついてしまいます。
「時計を使っていくうえで不具合が生じた」と言うのであればオーバーホールを受けるべきですが、「買取時のプラス査定のため」であれば、オーバーホールには出さず、そのままの状態で持ち込むことをお勧めいたします。
ロレックス 買取査定額の内訳~プラス査定になる場合~
前項で、査定額がマイナスになってしまう四つのポイントをご紹介いたしました。
でも、ご安心ください。当然プラスになるポイントもあります。
このプラスが揃えば、提示している定額買取以上の査定額になることも…!?
詳細を3つご紹介いたします。
プラスポイント①国際サービス保証書が付属している



何度か言及しているように、ロレックスの国際サービス保証書はメーカーでオーバーホールを受けた証明です。ちなみにロレックスはコピー品やメーカー以外の手が加えられた個体はメンテナンスを受け付けないため、「本物」の証にもなります。
この国際サービス保証書が付属していると、最高で1万円ほどプラス査定となるケースが少なくありません。延長された保証期間が残っていれば、なおさらでしょう。
ちなみにロレックス以外に目を向けると、パテックフィリップやリシャールミルと言った正規メンテナンス費用が高額なブランド程、プラス査定も大きくなります。
とりわけこの二社のメンテナンスコストは莫大であるため、あるいは「オーバーホールしてから売った方が得しやすい」数少ないブランドとも言えます。
ただし、これはケースバイケース。詳細は持ち込む買取店に問い合わせてみましょう!
プラスポイント②複数本持ち込んでいる



一本のロレックスを持ち込むよりも、複数本持ち込ん打だ方が買取査定額はプラスになります。
これは、一緒に持ち込む時計がロレックスでなくとも、です。
もちろんジュエリー等だと時計店よりも専門店に持ち込んだ方が良いでしょうが、例え取扱いのない商品でも、ぜひ一緒に持ち込んでみましょう。
買取査定に色をつけてくれる場合が多いです。
プラスポイント③下取り品がある



「この時計を売ったお金を元手に、別のモデルが欲しい」
こういった場合で、その時計専門店が販売も行っている時。買取・販売どちらもお任せした方がお得です。
買取査定額をプラスにする,あるいは販売価格を勉強してくれる可能性が大です。
また、買取・販売ともに行っている専門店は実績があり、時計に対する知識やノウハウが豊富であることがほとんどです。そのため新しい時計の購入後にも手厚いアフターサービスが受けられることでしょう。
さらにまた別の時計が欲しくなった時は、該当個体を下取りとして出せば、「リピーター」としてプラス査定が受けられやすくなる傾向にあります。
まとめ
ロレックスの買取査定額。そのプラス査定・マイナス査定の内訳についてご紹介いたしました!
まずは「相場」「在庫状況」が査定に大きく影響しますが、時計の状態としては「付属品の有無、とりわけ保証書」「外装状態」「コマ」「機械の状態」がプラス・マイナスされ、結果として最終的な査定額が出されていること。
ただし仕様や時計の状態によっては、定額買取をも超えるプラス査定が出る可能性もあることなどをお伝えできたでしょうか。
とは言え、実際の査定額は時計を見てみないとわかりません。
使っていないロレックスをお持ちであれば。ぜひこの機会に査定に出してみてはいかがでしょうか?
この記事を監修してくれた時計博士




池田 裕之(いけだ ひろゆき)
- (一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
- 高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
1982年生まれ・熊本県出身。
20代でブランド販売店に勤務していく中で、高級時計に惹かれ、その奥深さや魅力を知っていく。29歳で腕時計専門店へ転職を決意し、GINZA RASINに入社。
豊富な時計への知識を活かして販売・買取・仕入れに携わり、2018年8月にはロレックス専門店オープン時、店長へ就任した。販売・買取ともにリピーターが多い。時計業界歴17年。





















































