パテックフィリップは、数ある高級時計ブランドの中でも高いリセールバリューを期待できるブランドです。
しかし、パテックフィリップであれば、どの時計を購入しても定価以上で売れるわけではありません。
ノーチラスやアクアノートには、中古流通価格が定価を大幅に上回るモデルがあります。
その一方でカラトラバなどのドレスウォッチには、定価を下回る価格で流通しているモデルも少なくありません。
パテックフィリップのリセールバリューを考える場合、ブランド全体のイメージだけで判断せず、コレクションやリファレンス、素材、ダイアル、時計の状態を確認することが大切です。
この記事では、パテックフィリップの人気と資産価値、リセールバリューが高いモデル、高く売るためのポイントを解説します。



パテックフィリップは、高級時計に詳しい人ほど強い憧れを抱くブランドです。
一般的な知名度ではロレックスのほうが上に感じる人もいるでしょう。
しかし、時計製造の歴史、複雑機構の技術、仕上げ、希少性、オークションでの評価まで含めると、パテックフィリップは時計界の頂点に位置するブランドのひとつです。
パテックフィリップは、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲと並び、「世界三大腕時計ブランド」の一角に数えられています。
「パテックフィリップ」は人気がロレックスのように特定のスポーツモデルに偏ることなく、クラシックなドレスウォッチや永久カレンダー、クロノグラフ、ヴィンテージモデルにも長年収集を続ける愛好家が存在します。
現行品で最も手頃なレディース向けクォーツモデルのTwenty~4でさえ、2026年時点の定価は293万円です。



画像引用:パテックフィリップ公式|Twenty~4
エントリーモデルの価格が約300万円ということからも、一般的な高級時計とは異なる価格帯に位置していることがわかります。
パテックフィリップは1839年(前身:パテック・チャペック社設立年)の創業以来、180年以上にわたって高級時計を製造してきました。
その歴史と時計製造技術から、愛好家の間では「あがり時計」の代表格として名前が挙がります。
「あがり時計」とは高級時計を買い継いだ末に辿り着く、最終候補となる一本を指す言葉です。
数々の高級時計を所有してきた愛好家が最終候補としてパテックフィリップを挙げることも少なくありません。
パテックフィリップが買えないと言われる最大の理由は、需要に対して供給が限られているためです。
パテックフィリップは詳細な生産数を公表していませんが、2025年の生産数は7.5万本と報じられています。
参考:FINANCIAL TIME|Thierry Stern: ‘You don’t come to Patek Philippe because it’s more expensive’
年間100万本を超える規模と推計されるロレックスと比べても供給量は限られており、この少なさが正規店での入手を難しくする一因です。
ノーチラスやアクアノートなど人気のモデルは正規店での予約すら難しいと言われています。
入手困難なため価格は上昇の一途を辿っています、ロレックスを超える入手困難度が価格とともに人気を高め続けています。



パテックフィリップは、購入する人によって異なる魅力を持つブランドです。
富裕層にとっては、目立つロゴに頼らず時計を知る人には価値が伝わる控えめなステータス性があります。
正規店での入手が難しいことも、所有する特別感を高める要素です。
投資家からは、限られた生産数と世界的な需要を背景に、資産価値を期待できる時計として注目されています。
特にノーチラスやアクアノートの一部は、定価を大幅に上回る相場を形成しています。
時計マニアを惹きつけるのは、180年以上の歴史、高度な複雑機構、細部まで作り込まれた仕上げです。
創業以来製造してきた時計の修理・修復を受け付ける姿勢も、世代を超えて所有できる安心感につながっています。
ステータス性、資産価値、時計としての完成度、それぞれの異なる魅力がパテックフィリップを所有する特別感につながっています。



パテックフィリップは、高いリセールバリューを期待できるブランドであることは間違いありません。
ただし、すべてのモデルが定価以上で売れるわけではありません。
実際の買取相場は、コレクションやリファレンス、素材、生産状況によって大きく異なります。
ノーチラスやアクアノートの一部は定価を大幅に上回る一方、カラトラバやドレスモデルは定価割れするものもあります。
リセールバリューはブランド全体を捉えようとするのではなく、モデルごとに把握する必要があります。
ここからは、各コレクションの傾向を見ていきましょう。



画像引用:パテックフィリップ公式|ノーチラス
ノーチラスは、象徴的なデザイン、限られた供給によってパテックフィリップのなかでも突出した中古相場を形成しています。
実際の買取価格については後述の具体モデルで紹介しますが、ここではノーチラスについて解説します。
ノーチラスは1976年にパテックフィリップ初のスポーツウォッチとして誕生しました。
デザインを手掛けたのは世界三大時計ブランドの一翼を担う「オーデマ・ピゲ」ロイヤルオークでも知られるデザイナー「ジェラルド・ジェンタ」です。
潜水艦の船窓をモチーフにデザインされた八角形のベゼルとケース左右の張り出しが独自の個性を確立しています。
当時は高級時計といえばゴールド製のドレスウォッチが主流でしたが、初代Ref.3700/1Aはステンレススティールを採用し、その常識を覆します。
薄型でありながら実用的な防水性を備えていた、実力派の時計としても注目されました。
2006年にはフルモデルチェンジがなされ、複雑機構やゴールドモデルへ展開を拡大しました。
スポーティさと気品を両立したデザインが、現在まで高い人気を支えています。
アクアノートは、1997年にノーチラスに続くスポーツモデルとして誕生しました。
丸みを帯びた八角形ケースや格子状のダイアル、ラバーバンドがパテックフィリップらしい気品とカジュアルな使いやすさを両立しています。
生産数が限られているのに加えて、オン/オフ問わず着用できるデザインで需要は高く、時計店で在庫を見つけるのは容易ではありません。
短期間で生産を終えた初期モデルから現行モデルまで需要があり、業者間のオークションでも高値で競り合われることがあります。
限られた供給に対する幅広い需要が高いリセールバリューを支えています。
アクアノートの歴代モデルや詳しい変遷についてはこちらでも紹介しています。
パテックフィリップであっても、カラトラバなどのドレスウォッチや一部の複雑機構モデルは、買取価格が販売当時の定価を下回る場合があります。
ドレスウォッチは、ノーチラスやアクアノートに比べて着用場面や購入者が限られやすいためです。
また、複雑機構モデルは定価が高額で、将来メンテナンス費用も考慮されることから、希少であっても中古市場の買い手が限られる場合があります。
例えば、カラトラバRef.5296G-001は販売当時の定価約330万円に対して現在のGINZA RASINの買取価格は300万円です。
ただし、定価割れしているからといって時計としての評価が低いわけではありません。
購入する側にとっては、新品時より価格を抑えながら、パテックフィリップらしいケースやダイアルの仕上げを楽しめる点が中古品の魅力です。



ゴールド製や複雑機構を備えたモデルの中にも、販売当時の定価を上回る価格で評価されている時計があります。
パテックフィリップ ワールドタイム 5110R-001は、ローズゴールドケースを採用し、世界の主要都市に対応した複数の時間帯を確認できるワールドタイム機構を備えたモデルです。
ダイアル外周に都市名を記したリングを配したデザインは、機能を視覚的な魅力へ昇華しており、ひと目でワールドタイムとわかる個性があります。
販売当時の定価は約300万円でしたが、現在の買取価格は約420万円です。
すべてのゴールド製モデルや複雑機構モデルに当てはまるわけではありませんが、希少性や機構、デザインが評価されるモデルには、定価を超えるリセールバリューが期待できます。
パテックフィリップのリセールバリューは、同じコレクションの中でもリファレンスによって大きく異なります。
特に高く評価されやすいのは、正規店での入手が難しく、中古市場でも継続的な需要があるモデルです。
生産終了によって供給が止まったモデルや、人気コレクションに複雑機構を組み合わせたモデルには、販売当時の定価を大きく上回る買取価格がつく場合があります。
ここからは、「ノーチラス」「アクアノート」「コンプリケーション」から1本づつ取り上げ、それぞれの特徴と高いリセールバリューを支える理由を見ていきましょう。
Ref.5711/1A-010は、初代Ref.3700の流れを受け継ぐステンレススティール製の3針モデルです。
生産中から正規店での入手が難しく、2021年の生産終了後は新たな供給がなくなり、中古市場が主な入手先となりました。
販売当時の定価は約390万円でしたが、2026年7月時点のGINZA RASINでの買取価格は2,000万円となっています。
状態によって買取価格は変動しますが、定価に対して5倍に達しています。
ノーチラスであっても、すべてのモデルが定価の数倍で取引されているわけではありません。
ちなみに現行モデルのRef.7118/1A-001では定価584万円に対して買取価格が約580万円、5726A-001では定価928万円に対して買取価格約1,100万円と定価付近に留まっています。
Ref.5711/1A-010の高騰は、ステンレススティール製の代表格のモデルであることや生産終了による供給停止が重なったことが影響していると考えられます。
Ref.5167A-001は、ステンレススティールケースとブラックラバーバンドを組み合わせた、アクアノートの代表的な3針モデルです。
現行モデルでありながら正規店での入手が難しく、2026年7月時点のGINZA RASINのキャンペーン買取価格は1,200万円です。
定価444万円に対して約2.7倍に相当します。
正規店で定価購入できた場合、中古相場との価格差は非常に大きくなります。
ただし、将来の買取価格を保証するものではない点には注意が必要です。
Ref.5712/1A-001はムーンフェーズ、日付、パワーリザーブ表示、スモールセコンドを左右非対称に配置したモデルです。
ノーチラス自体の人気に加え、複数の表示機能を備えた独自性も評価されています。
Ref.5712/1A-001は定価約680万円に対して、買取価格1,800万円で販売当時を大幅に上回っています。



パテックフィリップを高く売るには、モデルの価値を正しく評価できる業者へ、適切なタイミングで査定を依頼することが重要です。
パテックフィリップの査定額は数百万円から数千万円に達することがあることから、高額モデルほど、店舗ごとの査定差が売却額に与える影響も大きくなります。
高価買取につなげるために、売却時期の見極め方や査定店の選び方を確認しておきましょう。
パテックフィリップの国内相場は、海外市場と為替の影響を受けます。
海外での取引価格が変わらなくても、円安が進めば国内での仕入れ価格が上がり、買取相場が上昇する可能性があります。
反対に、円高や海外相場の下落によって査定額が下がるケースもあります。
新作発表や生産終了も重要です。
人気モデルの生産終了が発表されると相場が上がることがありますが、後継モデルの登場で需要が分散するケースもあります。
必ず値上がりするとは限りません。
また、パテックフィリップの定価改定が中古相場に影響するケースもあります。
相場の最高値を正確に予測することは困難です。
数週間の値動きだけで判断せず、に直近半年から数年間の推移を確認しましょう。
売却を急がない場合でも、定期的に査定を受けていると相場の変化を把握しやすくなります。
パテックフィリップを売却するときは、複数の時計専門店へ査定を依頼しましょう。
店舗ごとに、在庫状況、得意とするモデル、販売先が異なるためです。
ある店舗では在庫が多く、追加で仕入れる必要がない場合でも、別の業者では購入希望者が待っている可能性があります。
その時計をより強く求めている店舗ほど、高い査定額を提示しやすくなります。
相見積もりでは、同じ条件で比較することが重要です。
現金買取、委託販売、下取りでは提示される金額の意味が異なります。
委託販売は手取り額が高くなる可能性がありますが、売れるまでに時間がかかり、手数料も発生します。
査定額だけでなく、入金時期、キャンセル料、郵送査定の場合は返送料、売却後の責任範囲も確認しましょう。
パテックフィリップの取扱実績が豊富で、査定額の根拠を説明してくれる店舗を選ぶと安心です。



パテックフィリップの査定では、リファレンスや年式だけでなく、付属品と時計の状態が細かく確認されます。
特にヴィンテージモデルでは、ダイアルや針、ケース、リュウズ、ムーブメントが製造当時の状態を保っているかが重要です。
交換部品が使われている場合、時計としての機能に問題がなくてもコレクターからの評価を下げてしまうことがあります。
売却前に自己判断で研磨や部品交換を行うと、かえって査定額が下がる場合があります。
以下の3点を売却前に確認しておきましょう。



いずれの高級時計でも同じですが、箱、保証書、取扱説明書、タグ、余り駒などの付属品が査定額に影響します。
その中でも、保証書は重要です。
保証書には時計固有の商品番号など、販売情報が記載されています。
時計の来歴を確認する資料になるため、紛失しているよりもフルセットのほうが高く評価されます。
ブレスレットのモデルでは、余り駒も重要です。
余り駒がないと対応できる腕回りが限られ、次の購入者が見つかりにくくなる可能性があります。
外した駒は箱や保証書と一緒に保管しておきましょう。
日常使用による細かな傷であれば大きな減額にはならないケースもあります。
しかし、深い打痕、ガラスの欠け、ダイアルの変色、針の腐食、水分の侵入などがある場合は修理費用を考慮した査定になります。
一方で、査定額を上げる目的だけで、売却前に研磨や修理を行うのは避けたほうが無難です。
非正規店での研磨などによって、例えばノーチラス特有のエッジが丸くなると、評価を下げることがあります。
反対に正規店でのサービス記録がある場合は査定時の安心材料になることがありますので、提示しましょう。
流通数と生産状況も査定額に大きく影響します。
生産終了したモデルは、基本的に新品が正規店から供給されなくなります。
需要が維持されれば、中古市場にある個体の希少性が高まり相場が上昇する可能性があります。
ただし、生産終了すれば必ず値上がりするわけではありません。
もともと需要の弱いモデルでは、供給が止まっても価格が上がらないことがあります。
また、生産終了の噂で相場が先走り、正式発表後に価格が落ち着くケースも考えられます。
査定を受ける際には仕様や付属品だけでなく、流通数や生産終了の有無にも注意を払う必要があります。
同じリファレンスでも、製造期間の短いダイアルや限定仕様は個別に評価されるので、分かっていることがあれば正確に査定店に伝えることが重要です。



パテックフィリップの価値は、購入時の人気や定価だけで決まるものではありません。
製造から年月が経つにつれて、生産期間、ダイアルの仕様、ケースの状態、付属品、修理履歴など、コレクターが注目する要素が増えていきます。
発売当時は目立たなかったモデルでも、後継機にはないデザインや短期間だけ採用された仕様が、後年になって再評価されることがあります。
一方、人気モデルでも過度なポリッシュや部品交換によってオリジナル性が失われれば、査定額が下がることがあります。
長い歴史を持つパテックフィリップだからこそ、その個体がどのような状態で受け継がれてきたかを確認する楽しみもあります。
パテックフィリップの中古相場を支えているのは、現行品だけでなく過去のモデルにも継続的な需要があることです。
カラトラバ、ワールドタイム、永久カレンダー、クロノグラフなど、年代やコレクションごとに異なる愛好家が存在します。
そのため、生産終了後も特定のリファレンスや希少なダイアルが収集対象となり、中古市場で評価されることがあります。
また、過去に製造したモデルの修理や修復を受け付ける体制も重要です。
古いモデルでも適切にメンテナンスが受け、次の所有者に引き継げるため単なる中古品ではなく次の世代に安心して渡せる時計として評価されています。
モデルごとの相場変動はあるものの、幅広い収集需要と長期保有を支える修理体制が、パテックフィリップのリセールバリューの安定・上昇を支えています。
パテックフィリップは、長い歴史、高度な技術、限られた生産数によって、高い資産価値を期待できるブランドです。
特にノーチラスやアクアノートは高いリセールバリューを誇りますが、カラトラバなどは定価を下回る場合もあります。
状態や付属品なども重要になりますので、売却時は相場や為替を確認しつつ、複数の専門店で査定を受けることでより納得できる価格につながります。
ぜひ、お持ちの方は一度査定に出してみることをおすすめします。



